大阪中之島の歯科医院 DUO大阪歯科医院

デュオ大阪歯科医院

大阪中之島 DUO大阪歯科医院

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インプラント周囲炎

インプラント周囲炎について

現在多くの患者さんがインプラント治療の恩恵をうけており、10年前とは比べ物にならないほどその存在と価値を認知されるようになりました。その半面、近年の多くの長期研究結果より、いままで発表されていたデータ(Berglundh et al., 2002)以上にインプラント周囲炎とよばれる、細菌感染によって引き起こされるインプラント周囲の骨吸収に見舞われる患者さんが多いことが証明され 、どのようにしてその問題を予防し、また不幸にしてインプラント周囲炎にかかってしまった場合の対処法が議論されるようになってきました。

通常インプラント周囲炎にかかってしまうと、適切な治療をしなければ歯周病とくらべインプラントを支える骨は急速に失われ、やがてインプラントは抜け落ちてしまいます。 世界のデータを見てみるとおおよそ20%の患者さんがインプラント周囲炎にかかってしまっているようです(Atieh et al., 2012, Mombelli et al., 2012)。

昔はあまり論議されなかったインプラント周囲炎がどうしてこのように問題視されるようになってきたのでしょうか?一つは正しいトレーニングを受けていない歯科医師がインプラントを使用するようになってきたことが挙げられます。インプラントによる事故も多発するばかりか、術後の管理方法を理解していないため、インプラントを患者さんに適用することに精一杯で、とても術後の管理のことまで頭が回っておらず、衛生士任せになっていることがよくあります。
多くの医院では、その肝心な衛生士も歯科医のほうが適切な知識を持っていないため、良く分からずインプラント周囲を掃除している状態です。
審美、インプラント アフター

これでは病気にかかっても仕方がありません。二つ目に、世界的な傾向としてインプラント治療を受けた患者さんが単純に増えたことにより問題も多く認められるようになり、クローズアップされてきたという側面もあるでしょう。

当院ではインプラントを自院でももちろん扱っておりますが、インプラント周囲炎にかかってお困りの患者さんのケアーも考えております。大学病院でも治療を断られ、インプラント難民と呼ばれる患者さんも見受けられます。現在のところ歯周病治療のように予知性の高いものでは無く、治療は簡単ではありませんが、患者さんの口の中で機能しているインプラントをできれば、それが他院でなされたものであっても長く機能してほしいと私たちは思っています。現状、安全で最良と思われる方法でインプラント周囲炎に対し、私たちは最善を尽くして立ち向かっていきます。



インプラント周囲病変の原因と予防法そしてその治療法

インプラント周囲病変はインプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎という二つの病態を表します。これらは細菌の感染により起こり、その細菌は歯周病に関連する細菌と類似していることが示されています(Berglundh et al., 1992, Lindhe et al., 1992, Papaioannou et al., 1996)。
つまり、歯周病を引き起こす細菌(歯垢)をインプラントの周囲から毎日清掃して適切に取り除くことがこの病気を予防する最大のポイントとなります。そのため患者さんの毎日の歯ブラシによるプラークコントロールと定期的な検診が最も重要です。

インプラント周囲炎に先立って、病気のスタートラインとしては必ずインプラント周囲粘膜炎という状況が起こります。これは歯ぐきだけに炎症がとどまっている状況で、歯のまわりでの歯肉炎という状態と類似しています。歯肉炎は患者さんによる適切なブラッシングと歯ぐきのまわりの歯石を歯科医師または衛生士が丁寧に除去することで、炎症がなくなり元の健康な状態に治すことができます。インプラント周囲粘膜炎も同様です。つまりこの時点で、インプラント周囲炎にまで進めないことが非常に大切になってきます。不幸にして細菌感染が深部にまで至るとインプラント周囲炎と呼ばれる、歯周病とくらべ病気の進行が早く、インプラントを支える骨が破壊的に失われていく病態にシフトしていきます。この状態に至ると外科的治療を行なうことが一般的にはセオリーになっており(Claffey et al., 2008)、その中でもどの治療方法がベストかということはいまだ明らかになっていません。私たちはこの病気に対して立ち向かうため、最新の情報をアップデートしていきながら患者さんのインプラントを守っていきたいと思っております。



インプラント周囲炎治療症例


症例1


症例1-1


40代女性
ヨーロッパにお住まいの患者さん。診断はインプラント周囲炎で、在住地のスペシャリストにはインプラントの撤去しかないということで、当院にセカンドオピニオンを求めて来院された。
5年しかインプラントを使用しておらず、残して機能させることを選択されたため、外科的治療を行った。


症例1-2


術後2年経過時の状況。インプラント周囲の感染は完全にコントロールされインプラント周囲の粘膜は完全に健康な状況を呈している。





症例2


症例2

症例2


症例2 2年後フォローアップー

症例2 2年後フォローアップー1

症例2 2年後フォローアップー2



70代男性
15年程前にインプラント治療を受けたとのこと。左右ともに著しい排膿と歯ぐきの腫れを認め、右下奥歯で噛むと痛いということもあり、インプラント周囲炎の改善を求めて治療を受けられた。

右下の奥2本は骨から完全にインプラントが抜けており、撤去となったがほかの左右6本のインプラントは外科的にインプラント周囲炎の改善を試みた。


術後2年のX線検査、ポケット検査では、骨の平坦化、回復及び深い10ミリ以上のポケットがなくなり、患者さんによる適切なプラークコントロールが継続されており、病的状態の解消、機能の改善が達成された。

被せの部分の劣化については気にされておらず研磨や修理をしながら使用していただいている。





症例3 前歯部のインプラント周囲炎


症例3 前歯部のインプラント周囲炎1   症例3 前歯部のインプラント周囲炎2


インプ ラント周囲の骨が大きく喪失しており、バクテリアで汚染されたインプラントを清掃、再生療法で同部の組織回復を狙い、歯ぐきが下がる可能性を最小限にすることを試みた。


症例3 前歯部のインプラント周囲炎3  

インプラント周囲の健康は完全に回復し、審美性の悪化も最小限に留めることができた。




参考文献
Atieh, M. A., Alsabeeha, N. H., Faggion, C. M., Jr. & Duncan, W. J. (2012) The Frequency of Peri-Implant Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Periodontol. doi:10.1902/jop.2012.120592.
Berglundh, T., Lindhe, J., Marinello, C., Ericsson, I. & Liljenberg, B. (1992) Soft tissue reaction to de novo plaque formation on implants and teeth. An experimental study in the dog. Clin Oral Implants Res 3, 1-8.
Berglundh, T., Persson, L. & Klinge, B. (2002) A systematic review of the incidence of biological and technical complications in implant dentistry reported in prospective longitudinal studies of at least 5 years. J Clin Periodontol 29 Suppl 3, 197-212; discussion 232-193. doi:019 [pii].
Claffey, N., Clarke, E., Polyzois, I. & Renvert, S. (2008) Surgical treatment of peri-implantitis. J Clin Periodontol 35, 316-332. doi:CPE1277 [pii]
10.1111/j.1600-051X.2008.01277.x.
Lindhe, J., Berglundh, T., Ericsson, I., Liljenberg, B. & Marinello, C. (1992) Experimental breakdown of peri-implant and periodontal tissues. A study in the beagle dog. Clin Oral Implants Res 3, 9-16.
Mombelli, A., Muller, N. & Cionca, N. (2012) The epidemiology of peri-implantitis. Clin Oral Implants Res 23 Suppl 6, 67-76. doi:10.1111/j.1600-0501.2012.02541.x.
Papaioannou, W., Quirynen, M. & Van Steenberghe, D. (1996) The influence of periodontitis on the subgingival flora around implants in partially edentulous patients. Clin Oral Implants Res 7, 405-409.




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